自救力を身につける

自救力を身につける

連休中はお休みをいただきありがとうございました。

長い休みでないと、なかなか行けない関東の山をいくつか登ってきました。

 

そのうちの一つ「雲取山」。

東京都の最高峰。

この山への登頂がこれまでになく後味の悪いものとなってしまったので、サロンとは全く関係ありませんが、大反省を込めて綴っておきたいと思います。

 

朝。前泊していた山麓の小屋で、スマホの電波は入らず天気予報の確認は出来ないものの、小屋番さんから「今日は昼過ぎまで安定した天気で楽しめそう」との情報を得て7時に出発。

稜線を目指して林の中を登ってゆく。

標準コースタイムは2時間半ほどのところ、4歳のムスコと一緒なので時間をかけてゆっくりと。

 

12時前にようやく稜線の手前。

コースタイムの倍の5時間がかかっているけれど、予想の範囲内。

山頂までのコースタイムはあと40分。

十分、今日の目的地の山小屋に着ける時間だなと、頭の中で逆算。

 

ところが、このあたりで空がだんだん暗くなり、時折、遠くでゴロゴロと雷の音。

稜線に出た時には、まさかの雹がバラバラと落ちてきて、雷鳴はすぐ近くに。

今、冷静に考えれば、雷の音が遠くに聞こえた時点で下山するのが正解でした。

 

けれど、その時の私の中にあった選択肢は2つだけ。

あと少しで着く山頂避難小屋に急いで逃げ込むことか、その場で稜線から離れて姿勢を低くして雷をやり過ごすこと。

 

いつ稜線から離れようかとずっと迷いながらも結局、雷鳴の中を山頂まで歩き通してしまいました。

手にしていたストックは、雷を呼び込みそうな気がして登山道の脇に置いてきました。

ムスコもただならぬ事態を察してか、雷の音から耳を塞ぎながらもコースタイムを上回るスピードで最後の急坂を上りきってくれ、何とか小屋に辿り着いたのですが。

 

下山後に、同じ時間、近くの山で、雷に打たれて亡くなった登山者の方がいた事を知りました。

たまたま無事に戻って来れたけれど、ニュースになったのは私達だったかもしれません。

 

これまで5時間かけて登ってきた道と、山頂までのあとわずかの道、これを天秤にかけたのは完全に間違いで。

天秤にかけるべきは、生か死か、でした。

 

ちなみに下山後に調べたところによると、ストックなどの金属は、自分より高く振り上げたりしなければ、そこにめがけて雷が落ちる事はないようです。

落ちるのは人間の体をめがけて。

落ちた後には電気を通しやすい金属に電流が集中するものの、それがかえって電流を体内から引き出して、致命傷から救ってくれる可能性もあるとか。

ストックを置いて、体への負荷を増やした事も間違いでした。

間違いだらけの判断に、重い気持ちで神戸まで帰ってきました。

 

もし雷の事故があれば、それは天災ではなく人災だと捉えるようです。

それは、避けられたはずの事故だから。

 

雷の音を聞いたらすぐに下山するという判断、その前に。

ムスコを連れていたら午前中に山での行動を終える事はできない訳で、午後から”不安定”という要素があった時点で、登山そのものを中止するべきでした。

 

自分の判断が自分の命を、もし誰かを引率するのであれば、そのメンバーの命を左右します。

何よりも大切なムスコの命を、自分が奪う事になっていたかもしれない、その事実が私の気持ちをますます重たくしています。

 

山の上という特別な環境でなくても、街の中でも大地震をはじめ自然災害に遭う可能性は誰にでもありそうです。

誰かの避難指示を待つのではなく、自分の責任で行動できるように、知識を得て感覚を磨かなければ。

生き延びるために!

 

山での雷について参考にさせてもらったサイトです。

『登山中に雷にあったら、どうするのが正解!?』

この記事を監修された気象予報士の猪熊さんが主宰する、山の天気予報についての情報配信サービス(有料)に登録しました。

出来ることを、まずは一歩。

 

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